── 涙が出るのは、弱さじゃない
夜、部屋の灯りを少し落として、イヤホンをつけた。
なんとなく流したのは、若いころ何度も聴いた曲だった。
イントロが鳴った瞬間、胸の奥がざわついた。
懐かしい、というより、近い。
あの頃の空気が、急に隣に座った感じがした。
そして気づいたら、涙が出ていた。
自分でも驚いた。
どうして今さら、と思った。
でも、たぶん今だからだ。
曲は変わらない。変わったのは、ぼく
若いころ、その曲は「未来」だった。
不安だらけで、
何者でもなくて、
自分がどこへ行くのかも分からなかった。
それでも、歌詞にすがっていた。
「なんとかなる」と信じたくて。
今は違う。
同じ曲を聴いているのに、
聞こえてくる意味が変わっている。
未来をくれる歌じゃない。
ここまで来たな、と確認させる歌になっている。
時間は止まらない。
でも、ちゃんと歩いてきた。
それを静かに教えてくる。
涙が出る理由
音楽は、記憶をまとめて連れてくる。
あの部屋。
あの帰り道。
あの焦り。
あの無力感。
そして、あの必死さ。
ぼくは、あの頃ちゃんと頑張っていた。
誰も知らないところで、
転びながら、
無理しながら、
それでも前を向こうとしていた。
涙は、後悔じゃない。
通り過ぎた自分への再会だ。
「あのとき、よくやってたな」
と、今の自分が認めている。
だから、少しだけ胸が緩む。
「ラララ」を聴きながら
この曲は、大声で応援しない。
「頑張れ」とも言わない。
ただ、横に座ってくる。
まぁ、いこうか。
それだけだ。
若いころは、その優しさに気づかなかった。
今は分かる。
人生は逆転劇より、持続戦だ。
派手な成功より、
倒れずに歩くことのほうが難しい。
ラララ、という意味のない言葉が、
いちばん長く寄り添う。
言葉にできない日でも、口ずさめるから。
整うということ
整うって、ポジティブになることじゃない。
過去も、
うまくいかなかった日も、
迷っていた時間も、
「それでよかった」と思える瞬間のことだ。
涙が出るのは、弱さじゃない。
まだ心が固まっていない証拠だ。
感じる力が残っている証拠だ。
それは、強い。
若いころ励まされた曲は、いまもちゃんと効いている。
あの頃のぼくは、
ちゃんと今のぼくを支えている。
だから大丈夫。
またラララと口ずさめばいい。
それだけで、
今日も少し、心が整う。
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