比べない勇気を持つ｜50代ぼくの“静かな強さ”を取り戻す生き方

― 自分の時間を取り戻すために ―

あの頃のぼくは、いつも誰かと比べていた

あの頃のぼくは、いつも誰かと比べていました。
同じ年の同僚の給料、友人の家族、SNSに流れてくる楽しそうな休日の写真。
それを見ながら、「なんで自分はこうなんだろう」と、ため息をつく日々でした。

仕事も生活も、それなりにやっているはずなのに、どこか満たされない。
心のどこかで「まだ足りない」「もっと上を目指さなきゃ」と焦っていたんです。
でも今思えば、ぼくが見ていたのは他人の人生ばかりで、
自分の時間をちゃんと見ていなかったのかもしれません。

比べるって、癖みたいなものですね。
気がつけば、誰かの「上」か「下」かで自分を測ってしまう。
でも、その比べる癖が積み重なると、
本当の自分の価値がどんどん見えなくなっていきます。

あの頃のぼくは、何をしても満足できませんでした。
朝から働いても、夜にブログを書いても、
「どうせ誰かの方がうまくいってる」と思っていた。
だからこそ、成果を感じる前に、いつも自分を責めてしまう。
まるで、永遠に終わらないマラソンを走っているような気分でした。

でも、ある日ふとした瞬間に気づいたんです。
仕事帰り、コンビニでコーヒーを買って外に出たとき、
冷たい風が頬をなでました。
そのとき、なぜか頭の中にこんな言葉が浮かびました。
「誰と競ってるんだろう？」

その一言で、ぼくの中の何かがほどけた気がしました。
競う相手なんて、そもそもいなかったんです。
ぼくが走っていたのは、自分が勝手に作った“誰かの人生”のコース。
そのことに気づいた瞬間、
風の音や街の明かりが、やけに優しく感じられました。

それから、ぼくは意識して“比べない練習”を始めました。
SNSを見る時間を減らし、
代わりに朝の時間を少しだけ静かに過ごすようにしたんです。
湯気の立つコーヒーを飲みながら、
「今日、自分にできることはなんだろう」とだけ考える。

そうすると、驚くほど気持ちが落ち着くんです。
焦りが減り、時間の流れがゆっくりになっていく。
他人の進み具合を気にしなくなったら、
ようやく自分の足音が聞こえるようになりました。

人と比べることをやめると、自分のリズムが戻ってきます。
焦らず、誤魔化さず、
“昨日より少しでもましな自分”を目指すだけでいい。
それが、ぼくにとっての「比べない勇気」でした。

「比べない」って、簡単なようでいて、実はすごく難しいことです。
誰かの成功を見て落ち込んだり、
誰かの笑顔を見て自分を責めたり。
人間だから、そういう気持ちは消せません。
だけど大事なのは、その気持ちを責めないことです。

比べてしまったら、「あぁ、また比べたな」と笑えばいい。
それで十分なんです。
自分を責めない力こそが、比べない勇気の第一歩です。

比べないようになってから、
ぼくは人に対して少し優しくなれた気がします。
前は誰かの成功を見ると心のどこかで嫉妬していました。
でも今は、「あの人も頑張ってるんだな」と素直に思えるようになった。
きっと、心の余白が増えたんだと思います。

焦りのない人って、まわりにも優しい。
静かな人ほど、じつは強い。
そういう人に、ぼくもなりたいと思っています。

仕事も人生も、比べ出したら終わりがありません。
誰かより早くても、誰かより遅くても、
どちらにも意味があります。
ぼくたちは、それぞれ違う道を走っている。
だからこそ、ゴールもペースも人それぞれでいいんです。

「焦らない勇気」「比べない強さ」──
この二つを持てるようになってから、
ぼくは自分の毎日が、前よりずっと穏やかになりました。

誰かより上じゃなくていい。
誰かより早くなくてもいい。

ぼくは、ぼくのスピードで生きていきます。
人にはそれぞれの季節があって、咲くタイミングも違う。
焦って無理に花を開かせようとすれば、
せっかくの蕾を痛めてしまうこともあるんです。

ぼくはもう、無理に追いかけることをやめました。
誰かの背中を見て焦るより、
今いる場所で、小さく息を整えることを大事にしています。

立ち止まる日があってもいい。
何もできない時間があってもいい。
それも人生の一部であり、次に進むための“静かな準備”なんだと思います。

比べず、焦らず、自分を信じる。
それだけで、世界の見え方が少し変わってきました。
風の音が優しくなり、朝の光がいつもよりあたたかく感じる。
そんなささやかな瞬間の積み重ねが、
今のぼくにとっての**「静かな強さ」**なんです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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